今回は、私が通訳や翻訳のお仕事に携わるきっかけとなった、医療通訳についてお話ししたいと思います。
私は医療通訳の講座、検定試験などは受けたことがなく、
先輩に教えてもらいながら現場で経験を積んでいったので、完全に自己流のまとめになります。
お客様も中国の方を対象にしておりますので、予めご了承くださいませ

どんなお仕事?
医療通訳とはその名の通り、医療現場などでお客様と医療関係者の間で通訳をするお仕事です。
医学に詳しくないとできないのでは?と思われるかもしれませんが、
医療通訳では実際そこまで専門的な用語を使うことはめったにありません
(例えば問診などの場合、お医者さんも患者さんに分かり易いように説明してくれるので、難しいお話はほとんどしません。もちろん通訳者本人が少しでも医療に詳しいのはメリットではあります)
診療の流れ、基本的な医学、薬学用語、人体の器官、機器の名前などといった知識があれば、
医学専攻でなくても医療通訳はできると思います。
(現場によって必要とする知識も違ってきますので、それは後ほど各パートでお話ししたいと思います)
私が今まで経験してきた現場は主に人間ドッグ、問診、検査、施術、入院など、
分野は婦人科、眼科、歯科、外科、整形外科、呼吸器内科、心療内科、美容整形外科などと多岐にわたります。

どうすれば医療通訳者になれる?
海外から日本へ治療などに来られる方は、殆どが医療コーディネート会社を通して来日しています。
一般的には通訳者は医療コーディネート会社と業務委託契約を交わし、依頼を受ける形になります。
また、一部の病院には専属の医療通訳士がいます。
前者は患者さんに合わせて色んな現場でお仕事しますが、
後者は病院に勤めて、その病院に来る外国人患者さんの通訳をする感じですね。
また、養成講座などではお仕事を紹介してくれる所もあるようです。
ただ、2021年10月現在、コロナで渡航制限がかかっているので、今はそれほど医療通訳の需要が多くはないイメージです(私の場合、2020年2月からほぼ医療通訳のお仕事は来なくなりました)。
ですが日本の医療技術は世界的にも信頼されているので、コロナが収まれば需要が復活する可能性は十分あると思います

まとめると:
・医療コーディネート会社と業務委託契約を交わす
・病院の専属医療通訳士になる
・養成講座に通ってお仕事を紹介してもらう

こんな感じでしょうか。
ちなみに私が知る限り、医療通訳に必須な資格はありません
現状国家資格はありませんし、民間の資格も必ずしも必要ではないです。
ですが0から始めたいという方は勉強も兼ねて資格を取るのもいいかもしれません
(医療通訳はまだまだ発展途上の職種なので、今後状況が変わってくることもあるかもしれません)

大体の流れ
病院専属ではない、フリー(?)の医療通訳者のお仕事の流れはだいたいこんな感じです。
・コーディネーターから打診が来る
  担当する方の情報、スケジュールをもらいます
  相手の既往歴や来日の目的を把握し、診療する分野に必要な知識を予習しておきます
・現地で待ち合わせ、お仕事開始
  ここからはお客さんと2人行動なので、初めての現場は一度下見しておいた方がいいです
・お支払い、お薬の受け取り
  時と場合によりますが、ここも通訳が付き添うことがあります
・現地解散
入院付き添いだとまた違ってきますが、大体はこんな感じです。
現地まではコーディネーターの方が付き添ってくれることがほとんどなので、
私たち通訳は現場だけ担当します(ごくまれに送迎や、時間がかかった場合は食事の手配などをすることもあります)。
逆に言うと、現場でお客様が頼れるのは通訳だけなので、
院内マップなどしっかり予習をしておくことが大事です。

医療通訳の特徴
もちろん医療関連のお仕事というのが最大の特徴ですが、
それ以外にも、医療通訳では特に気をつけなければならないことがあります。
それは、常にお客様に寄り添うこと。
ただ通訳をすればいいわけではなく、サービス精神全開で接するのが大事
もちろん他の通訳でも大事だと思いますが、医療通訳の依頼主は病を患っている場合が多いので、
常に体調を気遣ったり、なるべく負担がかからないように心がけないといけません。
病院などではほとんど通訳と依頼主の2人だけで行動するので、
履きやすいようにスリッパを揃えたり、お水を用意したりと常に気を配る必要があります。
通訳だけしていればいいというわけではないですね

お給料は?
病院で働く通訳者さんの支払い形態は存じ上げていないのですが。
私みたいに医療コーディネート会社と契約してお仕事する場合は時給計算が主になると思います。
現場によって時給も変わるので一概には言えませんが、ほとんどは最低保障給を設けています。
(例えば1回の出動で、2時間以内は一律いくらで、2時間超過したら時給計算するという形です)
交通費を含むのか、別途請求するのかも会社によって変わってくるので、
その辺は事前にしっかり相談して決めた方がいいですね。

以上になります。
次回からは人間ドッグ/問診、診察、施術/入院の三つに分けて、
ぞれぞれの流れや私的に注意すべきだと思った点を書いていきたいと思います

次回
医療通訳~人間ドッグ編~